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不動産の「謄本(とうほん)」とは?「登記事項証明書」について

2022.05.19

この記事の内容

不動産の「謄本」と呼ばれる書類は、正確には「登記事項証明書」と呼ばれている。

現実の書類としては、A4の緑の紙で右上に「全部事項証明書」と書かれているものであり、その内容は「表題部」として不動産の所在、面積等、「権利部」として所有者等の記載がされている。

 不動産の権利関係を表す書類として、「登記事項証明書」(不動産登記法109条1項参照)という書類があります。

 この書類で、不動産の所有者がだれか(権利部)、広さはどのくらいか(表題部)、などがわかります。

 不動産をご購入した後に、確定申告や会社に提出するなどの場合に用いる書類です。

 司法書士事務所は、登記が完了した場合、「登記事項証明書」を権利取得者に他の書類と共にお送りしています。

 

 ちなみに、この書類は「登記簿謄本」「不動産の謄本」など「謄本(とうほん)」と呼ばれることがあります。

 この「登記簿謄本」はかつての呼び方で、昔は法務局(登記所)に備えつけられている「バインダー式の登記簿」(紙の帳簿)の内容を書き写し(謄写し)、「登記簿の内容を謄写したもので間違いない」ということを登記官が証明した書類なので、「登記簿謄本」と呼ばれていました。

 なお、登記簿の内容の一部を書き写し、その内容を登記官が間違いない旨を証明した書類の場合、それを「抄本(しょうほん)」と言います。

 現在においては、原則として登記簿は、コンピューター化されており(不動産登記法2条9号参照)、電子データを印刷して登記されている事項を証明するという形なので、「謄本」ではなく、「登記事項証明書」というのが正確な呼び方です。

 ただ、いまだに「謄本」という呼び方は根強く残っています。

何故かというと、やっぱり「言いやすさ」からでしょう。

※前回の記事である「住宅用家屋証明書」が以前の呼び方である「専用住宅証明書」の略称である「専住(せんじゅう)」と呼ばれているのと同じ理由ですね。

 なお、「登記事項証明書」は、不動産登記法109条1項に規定された法律上の言葉ですが、実際の書類としてはA4の緑色の紙に「全部事項証明書」とその書類の右上に記載されているものとなります。

※一部事項の証明の場合「何区何番事項証明書」と記載されています。

 「謄本」「登記事項証明書」「全部事項証明書」と同じ書類を指す言葉が複数あるので、一般の方には少しややこしい言葉となっております。「不動産の謄本を提出してください」などと言われた際に参考にしていただければ幸いです。