住宅用家屋証明書を取得する際の築年数要件の改正
2022.04.27
- 1、はじめに
令和4年4月1日より、「住宅用家屋証明書」を取得する際における、築年数の要件が改正されました。
これにより、中古住宅の不動産取引において「住宅用家屋証明書」が取得できる範囲が広がりました。
「住宅用家屋証明書」取得の可否は、登記申請の際に必要な登録免許税の金額に影響します。
なお、私共のような司法書士事務所では、住宅用の不動産取引の場合、「住宅用家屋証明書」が取得可能な場合は、原則として取得を前提として登記の費用を算定しています。
- 2、改正の内容
従来は、「住宅用家屋証明書」を取得する際に、
①木造および軽量鉄骨造:新築後20年以内
②鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨・鉄筋コンクリート造等:新築後25年以内
といった築年数の要件がありました。
令和4年4月1日以後は、この要件が「昭和57年1月1日以後に建築されたもの」となりました。
昭和57年は1982年ですから、2022年の現時点で築年数40年の建物でも取得の対象となったことになります。
※なお、昭和57年1月1日以前の建物でも、「新耐震基準を満たす証明書」があれば、住宅用家屋証明書の取得は可能です。
- 3,住宅用家屋証明書取得の要件
下記に、千代田区のホームページより抜粋した住宅用家屋証明書取得の要件を記載いたします。
実際に、取得の際には当該自治体のホームページを確認し、必要書類を確認しましょう。
⇒の記載は注意点です。
1.本人が建築主である場合は、建築後1年以内のもの
新築の建売住宅、分譲マンション、中古住宅の場合は、取得後1年以内の家屋のもの
⇒通常は、購入の際に住宅用家屋証明書を取得するので、気にする必要はない。
2.新築または取得した者が、当該家屋に専ら居住すること
⇒・あくまでも「居住用」に限られるのでセカンドハウスなどは不可。
・買主が法人の場合も不可。
・居住者と非居住者が共有する場合は、税金の減税は移転登記、
保存登記の場合、居住者取得の持分につき減税され、非居住者の分は減税されない。
3.床面積(登記事項証明書)が50平方メートル以上であること
⇒・床面積は登記事項証明書の広さが基準となり、確認済証や評価証明書の広さではない。
・住宅ローン減税の要件で、40平方メートル以上を可とする場合があるが、「住宅用家屋証明書」はあくまでも50平方メートル以上
4.区分所有される建築物は、建築基準法上の耐火または準耐火造であること
⇒確認手段はなく、特に気にする必要はない。
5.登記簿上「居宅」となっていること
店舗等併用住宅の場合は、その家屋の床面積の90%を超える部分が住宅であること
⇒・「共同住宅」では不可。
・「居宅」に加えて「車庫」「物置」などは、居宅としての面積に含めることができる。
6.中古住宅については、次のいずれかに該当する物件であること
〇令和4年4月1日以後の取得家屋の場合
①昭和57年1月1日以後に建築されたもの
②上記を除く建物は新耐震基準を満たす証明書があること
〇令和4年3月31日以前の取得家屋の場合
①木造および軽量鉄骨造:新築後20年以内
②鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨・鉄筋コンクリート造等:新築後25年以内
③上記1および2を除く建物は新耐震基準を満たす証明書があること
千代田区ホームページ - 住宅家屋証明 (chiyoda.lg.jp)
- 4、おわりに
ちなみに、この「住宅用家屋証明書」ですが、かつては「専用住宅証明書」という名称だったらしく、その略称である「専住(せんじゅう)」は、その呼びやすさゆえか、いまだに業界内で使用されています。