コラム情報

住所・氏名変更登記の義務化と住民票の「前住所欄廃止」について

2026.04.08

住所変更登記の義務化が始まりました

令和8年4月1日から所有権の登記記録の住所・氏名に変更が生じた場合、その変更登記を申請することが義務化されました。

(参考:法務省:住所等変更登記の義務化について

 

この義務化により、住所・氏名変更の日から2年以内に変更されたことを登記する必要があります。

よって、引越などにより住所が変わり、登記記録上の住所に変更が生じた場合は、住所変更の登記を申請しましょう。

 ※正当な理由なく義務に違反した場合、5万円以下の過料が科せられる可能性があります。

 

もっとも、当事務所で令和7年4月21日以降に登記申請をした件につきましては、不動産購入の際に、「検索用情報(生年月日、氏名ふりがな、メールアドレス)」を提供させていただいております(メールアドレスがある方のみ)。

この「検索用情報」を提供している場合は、住所・氏名変更登記の義務が履行されたことになりますので、5万円以下の過料が科せられる可能性がなくなります。

よって、例えば新居の購入をしたが、その登記は引越前の住所でしていた場合であって、「検索用情報」を提供している場合であれば、変更登記義務が履行されたとされ、5万円以下の過料が科せられることはない、ということになります。

 

なお、「検索用情報」を提供している場合であって、引越をしている場合は、法務局が住基ネットに定期的に照会をかけ、住所に変更があることが分かった場合には、本人のメールアドレスに「住所が変わってますけど変更をしますか?」というメールをだし、本人が了解した旨の返信をすることで、法務局が職権で変更登記をしてくれます(この一連の作業を法務省は「スマート変更登記」と呼んでいます)。

 

この場合、登記で通常必要な登録免許税もかかりませんし、司法書士報酬も発生しません。

なお、法務局から届くメールは下記のメールアドレスからのみとなっております。

sys-info(アットマーク)touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

 

法務局が住基ネットに定期的に照会をかける頻度につきましては、2年に1回程度とされ、実際に運用されるのは令和8年の秋口くらいからの模様です。

住所変更登記のため住民票を取得する際の留意点(住民票の「前住所」欄の廃止について)

さて、令和7年4月21日より前に不動産をご購入された所有者の方で、その後に引越をしている場合は、住所変更登記が義務化されているので、住所変更登記を申請しなければなりません。

 ご自身で申請をしてみたいと思った方は、下記のサイトや、その先の案内に詳しくその手続が記載されているのでご参照ください。

不動産登記の申請書様式について:法務局

 

ただし、その際に住所変更を証明するために必要な「住民票(住民票の写し)」を取得する際に注意が必要なので、下記に記します。

 

結論から言いますと、「1回の引越しでも住民票に「前住所」欄がないため、取得した住民票で住所が繋がらないことがある」ということです。

以前までは、住民票に「前住所」欄があるのが当然であり、引越が1回の場合、とりあえず住民票を取得すれば、住所変更登記の書類として使うことができました。

 

 ただし、「住民情報システムの標準化」により、住民票の写しのレイアウトは標準仕様書に示されたレイアウトに統一され、その流れは全国に広がっているのですが、その標準仕様書のレイアウトには、「前住所(転居前住所)」欄は廃止され、新たに「転入前住所」が新設されています。

(「転居」は、同一自治体内の住所移転、「転入」は他の自治体からの住所移転のことです。)

 このことにより、同一自治体内の住所移転の履歴は当然には記載されず、その記載を求める際には、「転居の履歴も記載してください」「前住所の記載も記載してください」などと、住民票の請求時に申し出る必要があります。

(参考:千代田区ホームページ - システム標準化に伴い、令和8年1月から住民票の写しと印鑑登録証明書の様式が変更されます

 

ちなみに、この「住民情報システムの標準化」は令和8年3月末を標準化の期限としていましたが、いまだに移行が完了した地方公共団体とそうでない地方公共団体が混在しています。

もっとも、いずれは標準化はされていくので、住所変更登記の際に必要な住民票を取得する際は、常に「転居の履歴も記載してください」と申し出るのがよいでしょう。

 

住所・氏名変更登記の義務化と住民票の「前住所欄廃止」について

具体例として、上記のような登記記録があったとします。

島田太郎さんは、現在の登記記録上の住所は「東京都南北区傍陽一丁目1番2号イシビツアパート202号」です。

 

東京都東西区下川原柳三丁目1番2号

↓令和6年6月6日住所移転

東京都南北区傍陽一丁目1番2号イシビツアパート202号

↓令和8年4月4日住所移転

東京都南北区真田一丁目1番2号

 

という住所移転の流れだったとして、

 

「東京都南北区真田一丁目1番2号」に引っ越したので、住所変更のための住民票を取った場合、「住民情報システムの標準化」がされた地方公共団体では、(特に転居の履歴を求めなければ)現在の住所「東京都南北区真田一丁目1番2号」と「転入前住所 東京都東西区下川原柳三丁目1番2号 令和6年6月6日転入」のみが記載され、登記記録上の住所である「東京都南北区傍陽一丁目1番2号イシビツアパート202号」から、現在の「東京都南北区真田一丁目1番2号」へのつながりがつく住民票ではないため、住所変更の登記の際には使えないということになってしまいます。

このようなことを防ぐためにも、すでに述べた通り住所変更登記の際に必要な住民票を取得する際は、常に「転居の履歴も記載してください」と申し出るのがよいでしょう。

※なお、そのように申し出るとたまに、役所の窓口の方が「うちは前住所は常に入りますから」などと言ってくることがありますが、「住民情報システムの標準化」のことをその方個人が未だに知らないだけなので気にしないようにしましょう。

※役所から交付される、いわゆる「住民票」は「住民票の写し」(役所が保管している「住民票(原本)」の内容を、専用の用紙にコピー(印字)して、市区町村長の公印を押したものです。)です。これを一般的に「住民票」と呼んでおり、本記事ではわかりやすく「住民票」と記載しています。